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マニラKTV悲話 その㊿ 最終話! [小説]

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それから、数時間後の夜、優二は、ジュリアを連れて太虎に居た。
『これから、どうするつもりなんだい?』
店主の、大橋がそう言う。
『僕と一緒に、暗黒喫茶のパトロール隊を結成しましょう。』
横から、アンダルが口を挟む。

『お前は、黙ってろよ!』
大橋が、アンダルを一喝した。
『へへへ、冗談ですよ・・・』
照れ笑いをする、アンダル太子・・・
大橋は、それを無視して話を続ける。

『しかし、思い切ったことをやったな、会社を辞めるなんて・・・』
『はい、もうあそこまで皆の目の前でやっちゃったので、もう取り返しは付きません。』
『支社長さんは、認めてくれたの?』
『ええ、最初は渋っていましたが、最後にはとうとう・・・』
『そうか、それならもう本当に仕方が無いな・・・』

『で、僕は一度日本に帰ります、会社を辞めるにも、一度本社に帰って手続きをしないといけな
いのです、で、その間なのですが、このジュリアの事を、宜しくお願いしたいのです・・・』
『それなら、お安いご用だ、腹が減ったら、いつでもここに飯を食いに越させればいいさ。』
『有難う御座います、彼女は当分、あ姉さんの所で暮らす予定ですから・・・』
『やっぱり、今のコンドは引き払うの?』

『そうですね、会社が契約しているコンドですから、どうしても、一旦出なければなりません。
『そうかあ・・・、それでここに戻って来たら、仕事はどうするの?』
『それについては、支社長から提案が有りました。』
『ん・・・・・?』
『一緒に出資するから、何か商売をやろうと声を掛けられています。』

『ここで商売?、それだけは止めた方がいいぜ、素人が簡単にビジネスが出来るくらい、この国
は甘くはないからな。』
『はい、そのことは、マスターを見ていたら良く感じます、ですから、最初は勉強のつもりで、何か
小さい商売から始めようと思います、何事も初めが無いと、終わりがないですから・・・』
『ははは、中々いいことを言うな、まあ分かったよ、おいらに出来る事なら何でも相談して呉れ。』

『重ね重ね、有難う御座います、先ずは、日本に帰ってから、一から出直す覚悟です。』
優二は、決意を秘めた顔をしながら、そう言った。
『でもさあ、本当に今の彼女で良いのか?、彼女のせいで、会社を辞める羽目になったんだろう?
、それでも、まだ彼女とやっていける自信があるの?』
大橋は、半信半疑の表情である。

『そうですね、まあ、知り合わねば幸せだったのか、知り合ったがゆえに、これから不幸を背負う
のかは分かりませんが、僕はこの娘と、一生やって行くつもりです。』
『ははは、本当に優二君は固いねえ・・・、そう頑なになってやっていたら、この国では身体が持た
ないぞ、もう少し、柔軟に考えた方がいいな・・・』
大橋は、純情一途の優二に自分を省みて多少照れたのか、苦笑いを浮かべながらそう言った。

数日後のことである。
優二は、マニラ国際空港に居た。
とうとう彼は、日本に一時帰国してしまうのだ。
見送るジュリアは、もう涙で顔がくしゃくしゃである。
自分のせいで、優二の職を失わせて仕舞った事に、彼女は彼女なりに反省をしていた。

しかし、もうそうれも遅い・・・
優二は、ハンカチで、そっと彼女の涙を拭ってやった。
その後ろでは、洗濯屋さんが、女物のパンティを片手に持って振っている。
彼は、彼なりに、優二を見送っているのであろう。
空港には、暇人の彼だけが見送りに来ていた。

(これから、この二人は、本当の幸せを掴むことが出来るのかな・・・?)
洗濯屋さんは、二人の姿を見ながらそう思わざるを得ない。
しかし、それは、神のみが知ることなのだ。
何れにしても、日比のカップルには、試練が付き物である。
悲劇か喜劇かなどは、死ぬ間際にでもならなければ、解かろう筈が無かった・・・


第一部了!(爆)
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マニラKTV悲話 その㊾ 大混乱! [小説]

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ジュリアは、優二達の宴会が余りにも遅いので、その居酒屋まで様子を見に行っていた。。
その矢先の事である。
居酒屋の入り口に立った瞬間、奥の座敷の喧騒が目に入った。
そこで彼女の見たものは、前述の通りである。
彼女は、つかつかつかと二人の方に近付くと、優二が驚く暇もなく、ミッシェルの頬を引っ叩いた。

そこから先は、大乱闘である。
事情を知らない会社の仲間は、ジュリアを暴漢と見たのは言うまでも無い。
ミッシエルを助けようと、先ずは男性社員がジュリアに襲い掛かる。
ジュリアは、大勢を相手にしなければならなかった。
それを、必死で食い止めようとする優二・・・

居酒屋の中は、もう筆舌に耐え難い程の大混乱になった。
豪放磊落な岩崎も、謹直な吉本も、既に目が点になっている。
慌てふためいていた優二は、隙を見てジュリアの手を引っ張ると、彼女を引きずるようにして、店外
へと連れ出した。
それを、必死になって抵抗するジュリア・・・

優二は、懇親の力を振り絞って、ジュリアを抱え込むと、タクシーを捕まえ、無理矢理に彼女を後
部座席に押し込んだ。
タクシーの中でも、大暴れに暴れるジュリアである。
一番迷惑を蒙ったのは、タクシーの運転手であろう。
ジュリアが暴れるたびに、運転手の頭や肩に、ジュリアの手や足が当たった。

『ボス、ごめんよ、料金は2倍払うから・・・』
優二は、そう言うしか無い。
その内に、コンドに着いた。
今度は、そこが戦場だ。
ジュリアは、そこでも優二をなじりながら、暴れ続けた。

彼女が落ち着いたのは、夜中になってからである。
優二は、やっとの思いで、彼女に事の成り行きを、理解して貰えたようだ。
しかし、これからが問題である。
この不始末を、どう拭っていくべきか・・・
幹事の身でありながら、宴会場を、無断で立ち去ってしまった。

しかも、あの大混乱の最中にである。
(これで、ジュリアの事を皆に知られてしまったな・・・)
そう考えただけで、優二の気持ちは暗くなるばかりだ。
明日は、隔日土曜日で、休みである。
優二は、この時点でクビを覚悟した。

朝になるのを待ち、彼は岩崎の部屋に行く・・・
岩崎は、部屋に居た。
優二の顔を見ると、早速、目を曇らせる。
話を全て聞き終わった岩崎は、流石に唖然としていた。
てっきり、優二が暴漢を外に連れ出したと思いきや、そのまま優二は帰らなかったのだ。

居酒屋への、不始末の詫びや支払いは、全て岩崎と吉本がした。
彼等は、何度、優二に電話をしたことか分からない。
優二の携帯電話は、ドサクサに紛れて、タクシーの中にでも忘れてしまったのか、見つからず仕
舞である。
岩崎は、優二の話で、事の全容がやっと掴めたようだ。

(さて、この男の処分だが・・・)
岩崎は、慎重に考えざるを得ない。
小牧に続いて、優二までがこの不始末では、監督責任は免れぬであろう。
『君は、あの時、暴漢を連れ出したのだ、そして暴れる彼女を警察へと連れて行った。そこで君は
、警察に事情徴収を夜まで受けた、まあ、そういうことだな・・・?』

『はあっ?』
優二は、不思議そうな顔をしたが、やっと岩崎の真意が分かった。
が、ここは社会人としての、けじめを取らないとならない。
優二は、自ら懲戒解雇を願い出た。
岩崎は、それを聞いて、両腕を前に組んだまま、沈黙を守り始めたのである。。。


最終話に続く・・・
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マニラKTV悲話 その㊽ 宴会 [小説]

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『こんな所で、何やってるんだ・・・?』
『あ、あら、気付いてたの・・・?』
『当たり前だよ、まるでスパイみたいに、こそこそと・・・』
『御免なさい、私貴方のことが心配で・・・』
ジュリアは、オーダーしたハンバーガーを、手にしたままそう言った。

『心配は要らないって前にも言っただろ、約束したじゃあないか、今迄は言わなかったが、これが
初めてじゃあないだろ?、確か、前にも2回位見掛けたよ・・・』
『エヘヘヘヘ・・・』
ジュリアは、そう聞いても悪びれる風もない。
照れ笑いを、したままである。

優二は、ジュリアの前の席に腰掛けると、彼女の目をじっと見ながらこう言った。
『もう、こういうことは止めて呉れないか?、それとも、本当に俺のことが信じられないのか?』
『う、うん、分かったわ、でも、終わったら直ぐに帰ってきてね。』
『ああ、誓うよ、誓うから本当に真っ直ぐ帰るんだぞ!』
優二は、最後は、厳しい口調で念を押した。

『はい、はい・・・』
ジュリアは、2つ返事でそう答えた。
優二は、それだけを告げると、又宴会場へと戻っていく。
しかし、ジュリアは帰らなかった。
彼女は、それでも心配であったのだ。

優二は、彼女のものである。
少しでも油断したら、誰かに盗られるかもしれない。
日本には、『一所懸命』と言う、鎌倉時代からの言葉がある。
一つの場所に、自分の命を懸ける。
つまり、鎌倉時代の武士は、自分の所有地を、命懸けで守る事を重んじた。

ジュリアも、同じであったろう。
彼女は、いつも姉に言われていた。
『あれだけ若くて、お金のある独身は中々居ないよ、浮気されないように、気を付けなさいね。』
まあ、鴨は逃すなよと、カレンは言いたいのであろう。
ジュリアは、昔の姉の苦労を知っているだけに、その言葉だけは胸に沁みていた。

彼女は又、おばあさんっ子でも有った。
4人いる兄弟姉妹の中でも、おばあさんの愛情は、彼女に注がれて居たのである。
ある時のこと・・・
そのおばあさんが、自分の居ない時に、他の兄弟にお菓子を与えて仕舞った。
帰宅と同時に、それを知ったジュリアは、怒って、その日から2日間も食事を摂らなかった。

相当に、嫉妬深く、しかも強情な娘である。
これには、おばあさんも両親も、相当困ったに違いない。
ジュリアとは、そのような性格の娘であったのだ。
が、優二は、ここまでジュリアが、頑固な性格であるとは、思っても見なかった。
何と彼女は、辛抱強く、優二達の宴会が終わるのを、そこの店で待ち続けたのである。

そうとも知らずに、優二は、宴会の真っ只中に居る。
社内には、現地人社員が12人居て、その3分の2の8人が女性である。
その中に、新入社員のミッシェルも、当然含まれていた。
独身の日本人は、優二だけなので、彼は、必然的に、独身のフィリピーナ社員には人気がある。
宴会中も、ここぞとばかりに、モーションを掛けられたのは言うまでも無い。

宴会には、ゲームなどはつきものだ。
男女がペアになり、何かを競い、負けたら罰ゲームがあるという趣向が始められた。
丁度その時、優二とミッシエルがペアになり、優二がゲームに勝った。
罰ゲームは、男性が負けたら200ペソを女性に渡す、男性が勝ったら女性が男性にKISSをする
という趣向である。

勝った優二は、当然ミッシエルからKISSを受ける。
当然ほっぺたにされると思った優二は、右の頬を差し出したが、意外にも、ミッシェルは優二の唇
にKISSをした。
会場は、もう割れんばかりの拍手喝采である。
が、丁度その時、その様子を、レストランの入り口で、ジュリアが見てしまったから大変だ。


続く・・・
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マニラKTV悲話 その㊼ 鬱・・・ [小説]

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優二は、思わぬことで、小牧の仕事まで兼任することになったが、これには更なる弊害を伴った。
帰宅時間が、大幅に遅くなったのである。
しかも、コンドを、オフィスよりも遠くに設定していたため、通勤時間も余計に掛かる。
小牧が居なくなって、彼が住んでいたコンドには、空きがあるにはある。
が、支社長の岩崎が、優二を、そこに転居さすことは許さなかった。

自分の思い通りになる男を、彼が側から離す筈がない。
コンドの契約は、1年間だ。
そう考えると、後7ヶ月も、契約期間が残っている。
優二とジュリアは、一緒に暮らすようになってから、早3ヶ月が過ぎようとしていた。
一応だが、人の勧めもあって、1年間は、二人で同棲をしようということになっている。

その後、お互いに問題が無いのなら、結婚という段取りになるのであろう。
それはいい。
最近の優二には、非常に困った問題がある。
ジュリアの精神状態が、不安定なのだ。
突然泣いたかと思うと、ゲラゲラと笑うことも有る。

嫉妬深さも、月日を増す毎に、酷くなって行くようであった。
遅く帰る度に、服に口紅が付いていないかとか、香水の移り香が無いかとか、一々厳しく調べる。
これでは、溜まったものではない。
会社の用事で遅くなるのだが、ジュリアは信じて呉れないのだ。
その内、彼女は、会社まで優二の様子を、こっそりと、見に来るようにもなっていた。

それも、優二には内緒である。
優二は、ジュリアと暮らしていることを、実は誰にも知らせてはいない。
無論、支社長の岩崎にもである。
彼とは、住んでいる階も違うし、行動時間も違うので、滅多に顔を合わすこともない。
最も、彼の部屋に呼ばれれば、別だが・・・

それは、ある金曜日のことであった。
今日は、週末で、会社の連中と飲み会だと言って、コンドを出た。
こういう日は、余計にジュリアは機嫌が悪いのだ。
いつもは、玄関先まで見送って、KISSをしてくれるのだが、今日はそれも無かった。
(やれやれ・・・、こんな調子がいつまで続くのやら・・・)

優二は、思わざるを得ない。
この時点で、やっと優二は理解をしたのである。
大橋もよく言っていたが、ピーナと暮らすと言うことは、余程の覚悟が、必要だということをだ。
かと言って、ジュリアが嫌いになったという訳ではない。
愛してはいるが、どうにかしてあの性格だけは直させたかった。

国民性で仕方が無いのだが、優二は、まだ修正可能だと信じていたのだ。
さて、優二・・・
仕事が終わり、彼は職場の皆を先導して、今日の宴会場へと向かった。
勿論、支社長の岩崎や、副支社長の吉本など、日本人スタッフも同席である。
本日は、新卒採用したスタッフ3人の、歓迎会なのであった。

優二の会社では、男一人の、女二人が今回採用された。
中でも、容姿端麗のミッシェルは、男性社員の注目の的である。
今日で入社5日目だが、優二でさ、えすれ違った時は、胸がどきっとする程の美人で有った。
一行は、会場である、近所の日本食レストランへと、歩いて向かう。
優二は、総務の責任者を兼ねているから、当然幹事だ。

先頭を切って、歩いていた。
その時である。
一番後ろから、とことこと付いてくるジュリアの姿を見た。
(又か・・・)
こんなことは、今日で3度目である。

彼女は、いつも隠れて行動しているつもりらしいが、優二は全て確認していた。
ただ、今迄は、黙認していただけのことである。
どうせ浮気はするつもりは無いので、彼は、堂々と振る舞うだけで良かった。
食事会には付き合っても、KTV店だけは、優二はあれ以降、行くのを自分で固く禁じている。
彼女はこういう時、食事が終わる頃まで優二を見張り、その後タクシーで先回りをして帰宅をする。

このパターンなのだが、優二は、今日こそはジュリアに言い聞かせねばならない。
彼は、全員を会場に入れた後、自分一人だけ店の外に出た。
勿論、ジュリアを探すためである。
彼女は、その店の向かいのファーストフード店に居た。
恐らく、そこで優二を見張ろうとしているようだ。


続く・・・
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マニラKTV悲話 その㊻ 帰国 [小説]

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翌日になった。
結局優二は、朝方まで、ジュリアの面倒を見さされた。
今日は土曜日だが、彼達は出勤日である。
ジュリアは、あれだけ暴れたら流石に気が済んだのか、ベッドですやすやと眠っている。
取り敢えず、会社に行き、支社長に一連の出来事を、報告しなければならない。

優二は、シャワーをしてから、会社に向かった。
支社長には、会社の専属の運転手が居る。
彼は、先に会社に出てきていた。
小牧は、勿論であるが、出社をしていない。
岩崎の部屋で、二人は密談を始めた。

ここなら、誰にも邪魔はされないであろう。
優二は、昨日までの一連の出来事を、包み隠さずに岩崎に話して聞かせた。
勿論、ジュリアのことは内緒だが・・・
岩崎は、話を聞き終わると、ふ~と溜息を付く・・・
『残念だが、小牧はもう終わりだな・・・』

『えっ、それはどういうことですか?』
『もう、日本へ帰って貰うことにするよ。』
『・・・・・・・』
『まあ、君の報告が本当だとすると、彼は、傷を負っているんだろう?』
『は、はい。』

『それは、暴漢に襲われた事にするんだな、その事も在り、小牧はこの国が嫌になり、日本へ帰
りたくなった、これなら誰も傷付かずに済むだろう・・・奴も、君の脅しに屈しているのだったら問題
はない、俺への脅迫もこれで帳消しだ。』
明快なほどの、岩崎の裁きである。
これなら、小牧の帰国は、自分の落ち度では無くなる。

小牧は、会社が出入りを禁止している繁華街で、暴漢に襲われた事にするのだ。
彼の、自己責任で、会社が判断したと言い訳が出来る。
アイリーンのことは可愛そうだが、これも仕方が無いかもしれない。
何しろ彼女は、小牧に傷害を与えて仕舞ったのである。
優二は、少し心が痛かったが、後にアイリーンが流産したということを聞き、逆にほっとした。

(可愛そうだが、これはこれで、彼女のためには、良かったのかも知れない)
彼は、その時にそう思った。
小牧は、岩崎に引導を渡されて、当初の希望通りに、日本へと帰ることになった。
まあ、体面はかなり落ちるが、それでも、職を失うよりはマシである。
小牧は小牧で、これでほっとしたろう。

彼は、妻子の待つ、日本へと帰っていった。
帰国寸前のある日、岩崎は、小牧にこう言ったものだ。
『呉れ呉れも、奥さんを大切にな・・・』
小牧は、岩崎が本当は何を言いたいのかを、直ぐに察知した。
俺のことをバラせば、お前も只では置かないぞと、暗に念を押されたのである。

『は、はい大事にします・・・』
小牧は、それだけを答えるのがやっとだった。
彼の出世は、これで大分遅れるかも知れない。
それはさておき、今回のことで、岩崎は、優二を見直す思いをしていた。
小牧にうっかり、自分の秘密を漏らしたことは大失点だったが、その後の処置は見事だった。

会社の体面を考え、KTV店への口止めをする配慮など、咄嗟の対応は、岩崎を満足をさせるもの
で有ったに違いない。
又、困難でも、責任を全うしようとした姿勢にも、好感が持てる。
その事も在り、岩崎の推奨で、優二は経理の仕事だけでなく、総務の仕事も任されることになった。
その分、手当も余分に貰う事になったが、その事は、彼の生活に大きな影響を与えることになる。


続く・・・
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マニラKTV悲話 その㊺ とばっちり! [小説]

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全く、優二にとっては、予想外の展開になって仕舞った。
経験不足の彼は、正直言って、フィリピーナが、ここまでやるとは思わなかったのである。
フィリピーナの感情は、いつも安定しているとは限らない。
先程迄は落ち着いていたとしても、想像力が高まるにつれ、怒りが勃発することがある。
突然、ひょんなことから、数年前の旦那の浮気を思い出し、怒り狂うことなど珍しくもないのだ。

恐らく、先程店に来る前に会ったアイリーンは、今の、正直な気持ちを言いたかったに違いない。
が、小牧の顔を見たら、急に憎しみが湧いてきた。
(妻子が日本に居るにも拘わらず、私をこの男がもて遊んだ・・・)
愛が、憎しみに変わる瞬間でも有ったろう。
兎も角も、彼女は小牧を傷付けて仕舞ったのである。

優二は、咄嗟の事だが、ここは穏便に済ますべきだと思った。
傷は深いとは言ったが、フォークの尖リ具合を考慮すると、それ程まででも無さそうである。
店がパニック状態の中、ママさんを呼び、警察などは呼ぶなと念を押した優二は、応急処置を済
ませた小牧をおんぶして、取り敢えず表へと出た。
タクシーに乗り、病院へ行くためである。

病院では、EmergencyRoomに通された。
まあ、早い処置でよかったのであろう。
血は、さほど流れずに済んだ。
小牧は、流石にショックだったのか、目が虚ろになっている。
優二とも、殆ど口もきこうとはしない。

手当が終わると、優二は、小牧を彼のコンドへ送り届けた。
『今日はもう、何も考えるな、明日は仕事を休めよ、俺から支社長に言って置くから・・・』
優二は、それだけを言って、そこを出た。
そして、アイリーンの店に戻ったのである。
店は、平静を取り戻したのか、普通に営業を続けていた。

考えてみれば、先程は、幸いにも早い時間だったから、優二達の他に、客は居なかった。
居れば、もっと大変だったかもしれない。
新聞沙汰にでもなったら、会社に傷がつく・・・
そうなれば、小牧は勿論、優二や支社長も、只では済まないであろう。
それはそうと、アイリーンの事である。

刺したのは良いが、自分がやったことにショックを受けて、控室で失神しているそうだ。
後日談だが、彼女はこのせいで、子供を流産してしまっている。
優二は未だ、その事実を知らない。
失神しているとは言え、彼女の無事を確認した優二は、ママさんにくれぐれも口止めをして、
自分のコンドへ帰ることにした。

彼は、精神的にも肉体的にも、物凄くクタクタだったが、自分の部屋でもっと大変な目に遭う。
ジュリアのことである。
優二が遅くなるということに腹を立て、彼女は、ビールをしこたま買ってきて飲んで居たのだ。
『やっと帰ってきたかあ・・・』
虎のように吠えるジュリア・・・

優二は、もう泣きたくなった。
酒臭い息を吐きながら、ジュリアは優二にしつこく絡んでくる。
遅れて帰った、理由を聞いていくるのだ。
優二が幾ら仕事の為だと言っても、ジュリアは一切耳を貸さない。
ずっと責め続けていたと思えば、今度は泣きだした。

優二は、もう宥めるのに必死である。
その内、ようやく泣くのが終わったと思ったら、今度はげえげえとモドし始めたから堪らない。
(トホホホ・・・)
今日の優二は、踏んだり蹴ったりだった。
ピーナと暮らすということが、これほどの試練になろうなどとは、思っても見なかった優二である。


続く・・・
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マニラKTV悲話 その㊹ 修羅場 [小説]

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『私は、本当にあの人を愛していました。』
アイリーンは、優二に希望は?と聞かれたが、それには答えず、虚ろな表情でこう言った。
『あの人は、独身だと言ったし、いつかは、結婚も出来るとも言ったわ・・・』
彼女は、優二の眼を見ないまま、更に言葉を続ける・・・
『でも、それもこれも、みんな嘘だった・・・』

感情が昂ってきたのであろう。
そう言った途端、アイリーンの両目から、再び涙が溢れてきた。
昨夜に続いて、2度目である。
(可哀想に・・・、でも、これは、説得にもう少し時間が掛かるかもしれないな・・・)
兎に角、彼女が落ち着いて話を聞いてくれないことには、優二には為す術が無いのだ。

優二は、汚い話だが、ここはお金で解決するしか、無いと考えていた。
小牧に結婚の意志がない以上(当たり前だが)、可愛そうだが、中絶を勧めるか、産みたいのな
ら、生活費の面倒を小牧が見るというのが、一般的であると考えたのである。
が、彼女はその時、意外なことを言った。
『あの人は、今でも私のことを愛しているのかしら・・・?』

優二にとって、予想外な言葉である。
『あ、愛していたらどうなの?』
『私、あの人の愛人でいい、私は、あの人の子供を産んで育てたい・・・』
『・・・・・・・』
『今の私には、やっぱり彼を忘れることが出来ないわ・・・』

『ちょ、ちょっと待って、そ、それは本気で言ってるの?』
優二は、思わぬアイリーンの発言に、戸惑いを隠せなかった。
『ええ、本気よ、だからお願い、もう一度あの人の気持ちを確かめてきて、お願いします・・・』
アイリーンの顔は、決して、冗談を言っているような顔では無かった。
優二は、決断せざるを得ない。

ここは、一度引き下がるべきだと考えたのである。
(これからでも、小牧に相談してみよう・・・)
彼は、一旦その場を引き上げることにして、小牧のコンドに向かった。
小牧は、部屋に居た。
話を聞いた彼も、正直驚いている。

愛しているのかと聞かれたら、それはそれ、まだ未練は確かにあった。
勿論、身体だけかも知れないが・・・
(だとしても、今後も、このまま彼女と付き合って行くというのも、どうなのだろう・・・???)
小牧は、自分にとって、都合の良いシュミレーションを始めた。
(このまま、お腹が目立つようになるまでは店で働かせよう、その後はう~ん・・・・・)

考えを巡らせながら、引き続き、彼は、シュミレーションを重ねていく。
(それまでは、関係(勿論肉体)は続けられるな、産み月になったら、お金をやって、田舎にでも
帰そう、そこで子供を産めばいい、子供は、田舎で育てるのが一番だ、そうだ、その後、アイリ
ーンだけがここへ戻ってくればいいさ、働きながら、時々俺のもとに・・・)
やはり、こいつの根性はババである。

アイリーンの気持ちのことなど、少しも考えては居なかった。
『取り敢えず、アイリーンと、もう一度話し合ってみたらどうだ?、俺も付き合うよ・・・』
優二は、小牧が、そのようなことを考えているとも知らず、そう言った。
これは渡りに船だと、小牧が、二つ返事で承諾したのは、言うまでも無い。
気が付いてみると、時計の針は、既に午後7時を回っていた。

今頃は、彼女もお店に行っている頃であろう。
二人は、食事もせずに、彼女の店へと向かうことにした。
優二は、ジュリアを自分のコンドに、置いたままである。
二晩も連続で、帰りが遅くなることに、彼は、ジュリアの怒りを恐れていた。
(要らぬ疑いでも掛けられたら、大変だ・・・)

テキストで、会社の用事で少し帰宅が遅れるとだけ打っておいた。
が、彼女から、返事はなかった。
優二は、そのことで気にはなったが、小牧の手前、それでもアイリーンの元へ行くしか無い。
店へ着いた早々、二人はアイリーンを呼び出した。
アイリーンは、小牧の顔を見ても、何故か落ち着いている。

特に笑顔を見せなければ、愛想が悪いわけでもない。
『お久しぶりね・・・』
彼女は、そう言っただけである。
(おかしいな・・・)
小牧は、そう思ったに相違ない。

(俺の愛人として、これからも付き合っていきたいのではないのか?)
不審な顔をして、アイリーンを見詰める小牧・・・
だが、アイリーンは、その視線をさり気なく躱す・・・
両者の沈黙に、当惑したのは優二である。
丁度その時、彼らの席に、焼きそばが運ばれてきた。

晩飯代わりに、優二が先程注文しておいたのだ。
『取り敢えず、皆で食べようよ。』
優二は、辛うじてそれだけを言うと、そこにあったフォークを取ろうとした、その時である。
アイリーンは、いきなりそのフォークを取り上げると、それを小牧に向けて振りかざした。
小牧が、驚いている暇も無い。

そのフォークは、小牧の膝に、深々と刺さってしまった。
『ギャー』
凄まじい痛みに、小牧は、席から転げ落ちながらのたうち回る。
慌てて、アイリーンを、その場から引き離す優二。
一瞬の間に、その店は、修羅場となった。


続く・・・
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マニラKTV悲話 その㊸ 逆転! [小説]

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『俺にも考えがあるぞ!』
のっけから、優二にそう強く言われた小牧は、彼の勢いに、少しタジタジになった。
『か、考えがあるって何だよ?』
何とか、態勢を整えようとしたが、逆にどもってしまった。
優二は、ここぞとばかりに、少し声を荒げながら、更にこう言う。

『昨夜、アイリーンに会って来た、あれは、絶対にお前の子供に間違いないよ、彼女の顔を見れば
分かる、お前も男だろう、男なら男らしく、潔く認めたらどうなんだ?』
『・・・・・・・』
優二と小牧は、何度も言うように同期である。
しかし、最初に出世したのも小牧だし、結婚もとっくに済ませて仕舞って、今では二児の父親だ。

小牧は、優二の事を、独身主義者のお気楽者と見ていた。
出世に対して、自分をアピールするわけでもなく、結婚にも、消極的であった優二である。
ところが、この男が恋をした。
お相手は、比国のKTV嬢・・・
これが、日本を出発する前、小牧に、住居の事で泣き付いてきた男と、同一人物だとは思えない。

立て続けに連発する優二の責め言葉に、二の句が継げないでいる小牧である。
態勢は、整った。
優二は、ふっと気を逸らすような、話題に変えた。
『ところで、奥さんの敦子さんとは、しょっちゅう連絡を取っているのかい?』
武道で言うなら、間を外すというところであろう。

一瞬気を抜いたふりをして、相手を誘いこむのだ。
小牧は、見事にそれに引っ掛った。
『あ、ああ、三日に一度くらいは、国際電話を掛けてるよ・・・』
こういう話題なら、小牧にだって返事は出来る。
だが、次に優二が言った言葉が、小牧にはグサッと来た。

『でもまあ、この事を敦子さんが知ったら、さぞかし悲しむだろうな・・・』
『お、お、お前・・・・』
小牧は、一瞬にして顔が青くなった。
『も、若しかして、あ、敦子に告げ口しようって言うのか?』
小牧は、青くなった。

『告げ口だって、人聞きの悪い事を言うなよ、まあ、最も、お前がどうしても責任を取らないと言う
のなら、その時には、それを考えないでは無いな・・・』
『・・・・・・・』
『悪いけどな、昨日の昼のお前との会話、あれ録音させて貰ってるよ・・・』
『げ、げげえ・・・』

勝負は、決した。
小牧は、敗れたのだ。
人を陥れようとするものは、人に陥れられる・・・
が、落ち込んでいる小牧に、優二は、小牧を責めているばかりでは無かった。
『まあ、俺が相談に乗るよ、兎に角、ここから逃げる算段だけはよせ、支社長もお困りだ。』

『わ、分かった、頼む・・・』
優二は、アイリーンの希望や、言い分も聞いてやらねばならない。
兎に角、結婚が出来ない事は、百も承知なのだ。
その上で、彼女をどう納得させれば良いのか?
取り敢えず、小牧の代理人として、優二は、再び彼女に会うことにした。

小牧から、アイリーンの電話番号を聞き出し、退社後に、外で会う約束を取り付けた。
一夜明けたばかりなので、アイリーンは、まだ気持ちの整理が、付いていないようである。
些か、両目が腫れぼったいのを見て、優二が思わずこう言った。
『本当に、大丈夫?』
『はい、大丈夫です・・・』

蚊の泣くような、小さな返事をするアイリーン。
『小牧のことなんだけど、取り敢えず、君の子供のことは認めたよ・・・』
『そうですか・・・・・』
彼女は、そう聞いても、特に表情を動かさない。
『そこで、俺は、今後の事を小牧から任された、先ずは、君の希望を言ってみて呉れないか?』


続く・・・
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マニラKTV悲話 その㊷ 決意! [小説]

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アイリーンの気持ちは、優二にはよく分かった。
が、しかし、これを単に小牧に伝えるだけなら、ここに来た意味が無い。
何とか、少しでも解決策を見い出して置かないと、帰るに帰れない彼なのだ。
彼女の言うことは、信じるに足るものだと、優二は確信している。
子供も、九分九厘小牧のものだとしか思えない。

だが、小牧は、それを認める気はないのだ。
認めてしまえば、責任を取らねばならない。
彼は、目的のためなら、手段を選ばぬような男である。
何せ、支社長である岩崎まで、脅迫するような奴なのだ。
(どう、責任を取らせれば良いのか・・・?)

優二は、思い悩んだ。
元はと言えば、優二はこの件に、関わるべき話ではなかった。
自分のうっかりミスで、岩崎のことを、小牧に口走ってしまったが為に、引き起こった事件である。
こればかりは、自分で尻を拭うしか、他に道はない。
小牧は、自己責任を、完全に放棄しようとしている。

優二には、これが許せなかった。
妻子が日本に居ると言っても、外国に来て子供を勝手に作ってしまい、そこから逃げ出そうとする
など、男の風上にも置けない奴だと、憤慨していたのである。
優二は、考えあぐねた結果、これだけをアイリーンに告げて、店を後にした。
『小牧とのことは、俺に全てを任せて呉れないか?、決して悪いようにはしないから・・・』

ここで、小牧と二人だけで会わす事態だけは、避けようと考えたのだ。
最も、小牧の方で、会うのを拒否する可能性の方が大だった。
(一筋縄では、いかない奴だからな・・・)
優二は、自分のコンドへ帰る道々、色んな手立てを考えた挙句、一つの決心をした。
この際、小牧と全面対決をすることである。

元々、岩崎に責任を取って、会社を辞めようと考えた優二だ。
小牧と刺し違えになって、会社をやめる結果になっても、悔いは無いではないか?
今の自分には、ジュリアが居てくれる。
例え会社を辞めても、自分の貯金で当分は食えるはずだ。
若しかしたら、こちらで新たな仕事を探せるかもしれない。

そう言えば、以前、『太虎』の大橋に聞いたことが有る。
こちらには、駐在でなくても、現地採用の道があると・・・
優二は、それらを全てプラス材料に数え、小牧との決戦に望んでやると、心に誓った。
コンドに帰ったのは、午後の10時過ぎである。
部屋に入る早々、ジュリアは喜び、優二に飛びついて来た。

彼は、至福の喜びに包まれる・・・
(こういうことが、これからも毎日続くのだ・・・)
自分のやったことに対するのけじめと、今後もこの幸せを守るためにも、明日は小牧との決戦だ
と、優二は、再度心に誓ったのである。
さて、その夜も更け、次の日の朝が来た。

優二は、気合を入れて出勤している。
(今日こそは、決着を着けてやるからな・・・)
優二は、やる気満々である。
小牧の顔を見ると、直ぐに彼のもとに行った。
『昼休みに、もう一度話をしないか?』

『ちぇ、面倒くさいやつだな、まだ俺の話に関わりたいのか?、どうなっても知らないぞ!』
相変わらず、小牧は強気である。
さて、その昼休み、二人は、『スモール東京』ではなく、近所にある、ローカルレストランに居た。
『小牧よ、お前が態度を改めないなら、俺にも考えがあるぞ・・・』
会った瞬間から、優二が、のっけからそう宣言した。


続く・・・
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マニラKTV悲話 その㊶ 告知・・・ [小説]

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このままでは、埒が明かない。
小牧は、黒を白と言い張るばかりだ。
優二は、一旦引き下がることにした。
(やはり、これは帰ってジュリアに相談してみようかな・・・)
再びそう思ってみたが、いや、それはまずいであろう。

何せ、小牧が孕ませたアイリーンが働いているその店は、優二が、ジュリアに隠れてデートをした
女の娘も、働いている店なのだ。
万が一、彼女が一緒に行きたいと言ったなら、又々、修羅場が引き起こるかもしれない。
(ふ~、危ない危ない・・・)
優二は、折角手に入れた幸せを、小牧なんぞのことで、失いたくは無かった。

そう思い直し、ジュリアには、今夜は会社の用事で遅くなるとだけ電話で伝え、食事は自分一人で
済ますように、彼女に告げた。
ジュリアは、優二が遅くなるということに、露骨に不快そうな口調で文句を言ったが、これは当然で
有ったかも知れない。
例えて言うならば、新婚二日目の夜に、旦那が残業で遅くなるということだ。

優二は、電話でジュリアを宥めるのに、一苦労をして仕舞った。
(ともあれ、早く行って早く帰ろう・・・)
彼は、そう思うしか無い。
彼は、定時で会社を上がると、夕食を適当に済ませ、アイリーンの店に行った。
店に着き、ママさんにアイリーンを指名すると、ママさんは不思議な顔をする。

『御免、わけが有るんだ・・・』
優二は、そう言い訳をするしか無い。
遠くには、優二が以前デートをした、女の娘の顔も見える。
ママさんは、何故優二がその娘ではなく、アイリーンを指名したのか、理解が出来なかったのだ。
それはさて置き、アイリーンがやって来て、優二の隣りに座った。

『お久しぶりね・・・』
アイリーンは、笑顔で優二にそう言う。
『うん、実は君に話があるんだ。』
『ああ、分かった、小牧さんの事でしょう。』
アイリーンは、さすがに察しが良い。

優二が、自分のオキニを指名せずに、アイリーンを指名したのである。
小牧の会社の同僚としてやって来たのなら、用件は察しがつくというものだ。
『率直に言おう、君は小牧の子供を本当に妊娠しているのかい?』
『ええ、本当よ、でも何故?、あの人は、私がそれを告げたら来なくなった。』
『う、うん、それなんだが・・・』

優二は、流石にそれからが言いにくい。
しかし、ここは正直に言うのが、彼女の為である。
優二は、思い切って、小牧には、日本に妻子が有る旨を告げて仕舞った。
アイリーンは、流石にショックを隠せない。
見る見るうちに、頬に涙が伝わって行く・・・

『すまん、小牧に代わって詫びを言う・・・』
優二は、頭を下げた。
『別に、貴方が悪い訳ではないわ・・・、悪いのは全て彼よ・・・、私は、あの人のことを本気で愛し
ていたのに・・・』
優二は、聞いていて、胸が苦しくなった。

愛する気持ちは、優二とて、間近に経験しただけに、よく分かる。
アイリーンの気持ちが、心に痛いほど、手に取るように分かるのだ。
優二は、暫く沈黙をして、彼女を見守るしか無い。
やがて、アイリーンは、少し気持ちが落ち着いたのか、ぼそぼそと優二にこう言った。
『小牧さんに伝えて頂戴、二人だけで話がしたいと・・・』


続く・・・
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